補助金申請サポート

初期投資や一時的な大口投資が必要な場合、補助金を有効に活用することは中小企業者にとって重要な財務戦略のひとつです。補助金の基本的な申請から精算までの流れを理解することで、より確実な事業計画を策定していくことができるようになります。私たちは、これまでの補助金審査業務に携わった経験を活かしながら、より全体戦略とのバランスの取れた戦略的な視点からサポートいたします。


<補助金の基礎知識とポイント> 

通常、補助金の申請から精算までの流れは以下のようになります。

①公募⇒②申請⇒③審査⇒④採択・交付決定⇒⑤事業開始⇒中間検査⇒⑥事業完了⇒⑦実施報告書提出⇒⑧確定検査⇒⑨補助金請求・支払⇒⑩事業報告等

①公募現在では補助金は各省庁等のホームページに公告され募集が行われます(※1)ただし、公告から募集締切日までの期間が短く、その間に政策の趣旨を理解し、募集要件等を確認して、審査に通るレベルの必要書類を期限までに提出することは大変困難といえます。そのため、補助金のもとになる予算の資料を精査していくなど、自社の事業に適合するものがあるかどうかあらかじめ準備をしておく必要があるといえます。また、公募要領が示されていますが、見慣れない用語も多く、その内容を理解するのは、こうした資料を初めて目にする人にはかなりの困難が伴います。 ※1 政府の補助金等の募集は公告されますが、そこでは、募集があったことはわかりましが、その詳細については、ホームページに掲載される詳細資料を確認する必要があるため、ホームページからの情報収集が欠かせません。

<農林水産省補助金> http://www.maff.go.jp/j/supply/hozyo/index.html

<ものづくり・商業・サービス革新補助金:静岡県> http://www.siz-sba.or.jp/s/news/detail.html?CN=30439

②申請公募要領に基づいて、補助対象要件を満たしているかどうかを確認して、補助の対象になる実施主体かどうか、補助対象の事業といえるかどうか、自社の事業計画等と照らし合わせて検討する必要があります。その後必要書類を提出期限までに揃えて申請する必要がありますが、通常この期間がかなり短いことから、しっかりと進捗を管理して申請書等を作成していかないと、期限に間に合わない、内容が十分吟味されたものができない、補助対象要件を満たしていない等により問題が発生します。こうしたことが起こると採択されない可能性が高くなります。また、補助事業では事業にかかった経費がすべて補助の対象となるわけではありません。どういったものが対象となる経費で、どういったものが対象とならない経費か、通常、公募要領に記載がありますので、しっかりと確認して、申請書を作成する必要があります。

③審査補助金は政策目的を達成するためのものです。単に資金が欲しいからという理由では審査は通りません。審査は通常、限られた人員、時間で行われます。申請書を隅から隅まで十分な時間をかけて審査を行うことはあまり考えられません。そのため、限られた審査時間の中で審査を通過するには、わかりやすく伝えるための申請書の作成技術も必要です。どんなに補助事業として実施するに値する事業であったとしてのその価値が審査員に伝わらなければ意味がありません。また、補助事業を実施するということは様々な制度の縛りがありますので、補助金が実際に支払われるまでにかなりの労力を必要とします。そのため、趣旨・目的に合致していない事業で審査に通過しても、その後自らの事業の足かせとなることも考えられますので十分に留意する必要があります。

④採択・交付決定審査を通過すると採択されるわけですが、この段階では補助金が支払われる対象となったというだけで補助金支払が確定しているわけではありません。採択された後の手順を間違えると最終的に補助金が支払われないということもあります。

⑤事業開始~⑥事業終了通常、交付決定の通知を受けて事業を開始します。事業を開始した日以降に発生した(発注・契約)し、原則補助事業完了日までに支払いを終えた経費のうち、補助対象経費とされている経費が補助の対象となります(※2)。経費の管理については、補助事業を行うにあたり、補助事業とその他の事業を区分して経理管理を行う必要があることから、通常自社で行っている経理に加えて、補助事業を区分して管理するという業務が増えることになります。また、通常は、見積→発注→納品→検収→請求→支払、という調達の流れの段階ごとに証拠資料が必要となります。仕様書、見積書、発注書、納品書、検収書、請求書、支払のわかるもの(振込受領書等)が必要となります。通常の商取引では省略されているもののありますが、補助事業で補助金を請求するためには必要なものであることから、各取引段階で作成をする、取引相手に作成を依頼する必要が出てきます。また、見積りについては、複数の者から見積りを取る必要がある等の要件がありますので、各補助事業のついての取扱資料を必要があります。補助金の支払いは要件が満たされて初めて支払われるという制度設計のため、証拠資料が準備できない等、要件に合致していない場合には補助金の支払い行われません。補助事業特有の資料の作成も要求されることもありますので、注意が必要です。※2 このような取り扱いが原則ですが、例外もありますので、補助事業ごとの詳細については確認が必要です。

⑦実施報告書提出事業が完了したら、通常実施報告書を作成して実施機関に提出します。その際、補助経費に関する証拠資料を決められた様式等に従って整理して報告書を作成することになります。事業開始から事業完了までの間の各種証拠資料を的確に作成・保存・整理し、場合によっては区分経理をしておかないとこの実施報告書の作成はかなりの困難を伴います。証拠資料を再発行してもらうなど後から対応できるものもありますが、対応できないものもありますので注意が必要です。事業が完了し、補助金が支払われるものと思っていたが、手続きが不備で実施報告書が完成しない、補助金が支払われないということも考えられます。

⑧確定検査実施報告書が提出された後、交付する補助金を確定させるために確定検査が行われます。ここで、補助事業が規定された手続きに基づき実施され補助対象経費が支払われたかどうか、実施報告書を中心に証拠資料を確認しながらチェックしていきます。対象経費にならいないものがある、証拠資料が足りない、規定された手続きに合致していない、等がある場合には、通常、その部分の補助金は減額され支払われないことになります。

⑨補助金請求・支払確定検査の結果に基づき、補助金の請求をして、その後補助金が支払われることとなります。通常、この段階にならないと補助金は支払われないため、事業開始から必要となる資金については、自ら何らかのかたちで準備しておく必要があります。

⑩事業報告等補助金が支払われたら、補助金に関する業務がなくなるわけではありません。事業実施後についても、通常、事業化の状況・収益状況等を5年程度報告する必要があります。また、補助金で取得した資産については、処分等が制限される場合があります。 ※確定検査の後、会計検査院の検査がある場合があります。 このように補助金を獲得するまでには様々な手続きが必要であることから、それに対応した業務が新たに発生します。その為、補助金を獲得するためのコスト(時間・資金等)がどの程度か事前に計画しておく必要があります。